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愛善みずほ会創立75周年

愛善みずほ会創立70周年に寄せて-18

〝みろくの世〟の姿「天産物自給経済」を目指して

■ 教御祖(おしえみおや)様方のみ教えを〝実践〟する時代

 出口紅五代教主は教主ご就任以降、今日までの17年、道統継承の火継ぎの神事(平成13年5月13日)の折に献じられたお歌、

 「践〈ふ〉み行〈ゆ〉かむ道は遙〈はろ〉けく険しくも代々〈よよ〉の教御祖様〈みおや〉よ守らせ給〈たま〉へ
 あらそひのなき世界〈よ〉をひたに祈りつつ吾〈われ〉大本の道統〈みち〉を継がなむ
 弥仙山〈みせんざん〉に咲く山芍薬〈やましゃくやく〉の花のごと清くやさしく強くありたし」

のとおりのお道をお進みになり、大本の全信徒をお導きくださっている。
 この誌面において、この17年間に起きた出来事のすべてを記すことは到底できないが、五代教主は折々のご挨拶やご日常を通して、すべての信徒に対して〝実践〟の良い型を出すようにと、御身をもってお示しになりながら、お諭しくださっているように思われてならない。

 愛善みずほ会では平成14年1月27日、臨時理事会を開催。五代教主を同会の新総裁としてご推戴〈すいたい〉する。
 同年(平成14年)から「愛善酵素農法認定制度」もスタート。この制度は「愛善酵素農法」を実践する農家の人たちを、愛善みずほ会が定めた厳格な基準に従って認定するというもの。同制度が始まって今年で16年、現在では全国で55人の会員が適格者として認定されている。
 実は、その36番目に認定された方が、五代教主である。
 出口紅五代教主(愛善みずほ会四代総裁)は平成18年1月、「みずほの国の宝に」と題して、次の文章を「みづほ日本」誌に寄稿された。

 「愛善の心で農作物をお作りくださっている皆様、明けましておめでとうございます。お陰様で、私も畑を始めさせていただいてから4年目の春を迎えました。愛善みずほ会会長島本邦彦先生のご指導のもと、多くの皆様のお力添えをいただき、昨年(平成17年)は、愛善酵素農法認定36号をい頂戴たしました。
 日本の国に農業のよい型を出そうと思い、はじめは自分ひとりで耕せる程の小さな畑をと考えていたのですが、だんだんと野菜の種類が増え、畑の範囲が広がり、とてもひとりでは手におえないほどの大きな畑になってまいりました。そのお蔭で、お土からいただいた様々な種類の野菜を、両聖地の大祭や、月次祭などにお供えし、皆様にもお分けすることができ、季節ごとに本物の味を楽しむ幸せをも感じさせていただいています。今年はカボチャ、ソラマメ、トマト、シシトウ、ピーマン、サトイモ、ショウガなどがたくさん収穫できました。
 私の畑は、周りに樹木が多いため日当たりや風通しが悪く、決して条件が良いとは言えませんが、作物によっては専門家の方が驚かれるほど立派に成るものがあります。愛善酵素農法をはじめてより、年々お土がやわらかく、細かく、よいにおいがするようになってまいりました。そして、この土地の環境に合う野菜と合わない野菜があること、また種類により植える時期を考えなければならないものもわかり、多くのことを学ばせていただいています。
 昨年日本列島は、高温少雨の天候でしたが、一部を除き、おおむね例年並以上の豊作をいただき、農作物も良好、果物も全体に甘くて美味〈おい〉しい物が多かったことは大変有難いことでございました。
 しかし、海外では大きな災害が相次ぎ、日本周辺の海では巨大越前くらげが異常発生して漁業に悪影響をあたえているごとく、陸でも環境悪化による生態系の破壊や、異常気象など、今後の農業、林業、漁業を考えるとき、不安な材料がいっぱいあります。
 日本の食糧自給率は40%、穀物自給率でいう28%と低く、私たちの食べ物を作っている畑の70%が海外にあるといわれています。そして、日本は食べ残しを捨てる量が世界一で、その量は世界の食料援助量の二倍以上となっており、一方で食糧不足のため、飢餓に苦しむ人が多いという事実を思うと、日本人として、なんとももったいない不名誉なことだと恥ずかしくなってまいります。
 愛善みずほ会は、発会以来五十八年、お土の心を大切に、天産物自給自足による土づくりを根幹とした農業普及に力を入れてまいりましたが、今後日本の将来のため、この考え方や技術をさらに広く、より早く普及し、農業が国の大本として尊重される社会をとりもどしていくことが大切だと思います。
 本年も皆様と共に、天地のお恵みを豊かにいただけますよう、安全で美味しい作物をつくり、みずほの国の宝とならせていただくことができますよう、精一杯励ませていただきたいと存じます」

 以下は、農を実践されての五代教主のお歌。
 「代々〈だいだい〉のをしえみおやのみ教へをかしこみ今日もお土を拝〈おろ〉がむ
 天地〈あめつち〉に重ねし罪を心より詫びつつご恩に如何に報いむ
 風水火飢病戦〈きびょうせん〉の消ゆる日をひたに祈りてお土に額づく
 龍宮海に供へんとして培〈つち〉ひしカボチャ両手に捧〈ささ〉げ流しぬ
 酵素肥料の恵みに育ちしわが畑の里芋〈いも〉豆胡瓜〈きゅうり〉本物の味
 紅と刻みて賜〈た〉びし鍬〈くわ〉振りてお土おこせど腰定まらず
 愛善の農を忘れし今の世に明星〈ほし〉輝けるみ世を祈らむ」
(「みづほ日本」平成17年1月)

 この間の愛善みずほ会自体による事業にも、広く〝実践〟を促すものが目立っている。
 例えば「初めての家庭菜園研修会」と銘打って、平成17年5月に始められた研修会は、それまでは農業従事者を対象にすることの多かった同会が、お土にふれる機会の少ない人たちを対象に開催しているものである。夏野菜や秋冬野菜の作り方を初歩からやさしく指導しており、一般参加者も多く、好評を博している。これまでの10年間で、数カ月間にわたる連続研修会や一日研修会など、計67日間でのべ213人の会員や市民が参加している。
 そのほか全国各地で数多くの地方研修会を開催しているほか、定期農業セミナー(鳥取、大阪、兵庫、岐阜など)をはじめ、新規就農者支援事業など、これまでには見られなかった新しい取り組みを行っている。
 このように積極的な活動を推進する愛善みずほ会に対して、五代教主(総裁)はご多忙にもかかわらず、毎年のようにご挨拶文を「みづほ日本」誌に寄稿され、大きな期待をかけられている。

 次の文章は、「愛善みずほ会活動への願い」と題して、平成28年1月発行の「みづほ日本」誌に寄稿されたものである。

 「愛善みずほ会は、戦後、日本国土が深刻な食糧難にみまわれる中、増収・増産のため1948(昭和23)年に出口すみこ初代総裁によって創立されました。その目的は、『農村に友愛協助の精神を普及すると共に持続可能な農業技術の研究・普及と安全な農作物の生産並びに食生活の改善をすすめ、もって農民生活の安定と我が国の食糧自給体制の確立に寄与すること』でございました。
 その後、日本が高度成長期を迎え、国民の生活が豊かになりましたことは、誠にありがたいことでございますが、一方で経済優先に偏重するあまり、食糧難の体験はいつしか過去のものとなり、一粒のお米、一枚の菜の葉を『ありがたい』『もったいない』と思う心が失われつつあります。しかし、食は生命維持の根幹であり、私たち人間は、食物がなければ生きていくことができません。
 そのような中、平成27年10月、TPP(環太平洋経済連携協定)が、米国を中心として加盟国間で大筋合意されました。今後、各国の批准採決が行われますが、この協定が承認されれば、さまざまな問題が生じることが予想されます。特に農業の分野において、7万トンのコメの輸入、農産物の関税が段階的に撤廃、日本で認められていない食品添加物の使用承認や残留農薬の規制緩和、ポストハーベスト(収穫後農薬使用)の野菜や果物の輸入、遺伝子組み換え食品が増大すること等により、日本全国の農業への影響や、農業人口の減少が懸念されるのみか、国民の生命を危険にさらすことになります。国民やその子孫が安心して健康で生き続けるためには、国内の農業及び農業政策の改善が急務であります。
 出口直日愛善みずほ会二代総裁は、人間はある期間は何らかの方法で土に親しみ、農を体験させていただくことを自らの農体験を通して推奨され、出口聖子三代総裁(愛善みずほ会)は、食、農における安全性を厳しく諭されています。
 日本には古来よりお土を大切にしてきた文化があり、人群万類すべてがお土の恩恵を受けて生かされている以上、一握りのお土に感謝をし、安心安全な農産物を生み出さなくてはなりません。そして、人間だけでなく、その他の動植物や微生物に至るまで、すべてのものが天地自然の摂理に従った方法で地域の活性化を目指し、さらに地域と地域のネットワークを広げていくことによって、真に国の経済も文化も立ち直っていくものと信ずるのでございます。
 今後とも、愛善みずほ会の活動として、これらの諸問題の改善に寄与し、地域の後継者育成や農業従事者と消費者をつなぐネットワークの構築、自給自足体制の確立、安心安全な農産物生産の技術普及に向けて、より一層進展いたしますよう願ってやみません。
 本年も会員の皆さまのご健康とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
 さまざまと世はかわれどもかわらぬは月日と土のめぐみなりけり (出口すみこ初代総裁詠) 」