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愛善みずほ会創立75周年

微生物

 動物も植物も呼吸をしています。植物は太陽の光を浴びる昼間は、水と二酸化炭素によって酸素を排出するチカラ(光合成)が旺盛になります。根からは、窒素・リン・カリや微量要素など(無機化合物という)を吸収して植物自身のカラダをつくっています。
 多くの動物は、植物によって排出された酸素のおかげで生かされ、植物などの有機物を摂ることで栄養分や活動エネルギーを得ています。やがて植物や動物は遺体となって土に還り、その有機物は土壌中の微生物によって無機物に分解されていきます。
 このように生き物が生きるために必要な元素は、自然界を植物→動物→微生物を通して循環(物質循環)していることになります。この物質循環の中心は主に土の中で行われることから、土は私たち生き物の〝命の源〟といわれています。
 土の中には、土壌動物(ミミズや多足類など)や、肉眼では見えない土壌微生物(細菌・菌類・藻類・原生動物など)が生息しています。土壌動物は動植物の遺体などの有機物をエサとして細かく分解し、さらに土壌微生物によって無機物へとかえる働きをしてくれています。
 土の中の有機物は、ほとんど土壌微生物によって分解され、やがて〝腐植〟と呼ばれる状態になります。この腐植は、土の粒子と結合して団粒構造をつくり、肥沃な土壌をつくります。
 団粒構造をもった土壌には、さまざまな大きさの空気の隙間ができ、水や養分を適度に保持(保水性・保肥性)しながら、通気性や排水性のよい土壌となります。
 土壌中に動植物の遺体などの有機物が豊富にあると、それをエサとする土壌微生物が増え、さらに土壌有機物の分解によって形成された腐植が増えれば、団粒構造の土壌がつくられるため、作物が豊かに育つようになります。
 しかし農耕地の土壌は、育った作物が収穫されてた後、植物の残渣が土壌に戻ることは多くありません。そのため、有機物由来の腐植の蓄積量は年々徐々に減少していき、土壌微生物の数も減っていってしまいます。そうならないために定期的に有機物を施し、土を耕して団粒化させ、土壌微生物にとって生育しやすい環境を保持していくことが必要となります。
 愛善みずほ会では、土壌改良に最も有効な手段として完全発酵堆肥を施すことを推進しています。微生物・酵素のチカラを借りて完全発酵させた堆肥の施用は、土壌を団粒構造に整えてくれるだけでなく、土壌微生物の数をバランス良く増やし土壌環境を安定させ、病原菌などの働きも抑えてくれます。
 さらに私たちがそのような土壌微生物が豊富にバランス良く育つ土に触れていくことによって、またそこで育った作物を食することで、私たち自身の腸内微生物叢もまた改善されていくものと信じています。