カルチャー(culture)という単語には、〝耕す〟という意味と、〝文化〟という、異なる2つの意味があります。農耕がはじまったのは1万年前。一般的には300万年前から500万年前に人間の祖先が生まれ、それから何百万年という間、人間は自然の中の一員として、他の動物と同様に、木の実をひろったり、木の根っこを掘って食べるということをしていたといわれています。ところが、1万年前から〝耕す〟ということを始めました。走りまわって食糧を確保する必要がないように、種を蓄え、苗を植え、食べ物を得るようになりました。ここで定住ということが始まりました。家族をつくり、その家族の集まりがやがて部族を形成するようになり、そして、その中から自然に育まれ、おのずと伝承されていったものが〝文化〟というわけです。