地球上に生命が誕生したのは38億年前と推測されています。その中から光合成を行う原始の生物(藍藻類)が出現し酸素が排出されていきました。25億年前、この酸素が太陽から降り注ぐ紫外線によって分解されオゾンが生成されるようになります。
それから長い歳月が経過し、ようやく5億年前に成層圏にオゾン層が形成されました。その結果、太陽からの紫外線がさえぎられ、約4億年前に地上に生き物たちが棲みつくようになります。この生き物の登場により、大陸の岩床に〝土〟が形成されはじめたとされています。
地球表面の岩石は、長い歳月にわたる自然の風化作用によって、少しずつ割れ目ができ〝岩くず〟が出来ていきました。岩くずはさらに細かく砕かれて層になって堆積し、そこに原始の微生物や動植物が棲みついていきました。植物は大気と太陽と雨と岩くずによって生命の糧を得ます。この植物に寄生して微生物や動物も繁殖をはじめます。
この岩くずに動植物の排泄物や遺骸が混ざり、水や空気が保持されるようになっていきます。そうやって岩くずに多種多様な微生物が生息することによって土は生成されはじめました。
陸地に生息する動植物と微生物は土に依存し、生成・消滅が何代にもわたって繰り返されていきました。土はこれら生き物との長い相互依存の歴史の中で、何万年もかけて成長を続け、ますます肥えて層を形成するようになっていきます。
陸地の地表から約30㎞〜40㎞の厚さで覆われている部分を地殻と呼んでいますが、土壌はこの地殻表面の数センチから数メートルの厚さしかなく、人類が生きるために使用できる土壌を地球の陸地表面に平均すると、わずか18㎝の厚みしかないそうです。土壌はヒトの皮膚のようなものとみなされ、ここで生命が営まれ、様々な物質が合成・分解されているわけです。
しかし土壌が1年間で出来る量は厚さにしてわずか0.01㎜〜0.1㎜にすぎず、1㎝の土壌が生成されるのに100年〜1,000年もの長い歳月がかかると言われています。
私たち生き物が地球上で繁栄できたのは、成層圏にオゾン層が5億年も消失することなく太陽からの紫外線を防いでくれているからです。この成層圏にあるオゾン層は上空約40㎞にあり、押しつづめて地球表面にもってきたとしたら、わずか3㎜にしかならないそうです。
また、大気の酸素濃度が4億年前から、常に約21%に維持され、生き物の生存に必要な呼吸を可能にしてくれているからです。そして私たちが呼吸できる酸素のほとんどは、地上から約15㎞上空の対流圏にしか存在しないということです。
さらに大切なことは、生き物を養う土壌が3〜4億年も営々と生成され続けて、地上の動植物を育んできたからです。
地球の生物は未知のものまで含めると500〜1,000万種類いるといわれています。
私たち人類は、この多様な生物種の進化の最終段階に、多様な他の生物との共存共生を前提に誕生してきたのです。
そして、共存共生の仲立ちをしてくれているのは、この地球の陸地表面を皮膚のように薄く覆っている土壌だということを忘れてはなりません。