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愛善みずほ会創立75周年

愛善みずほ会創立70周年に寄せて-12

〝みろくの世〟の姿「天産物自給経済」を目指して

■ 「みずほ会が、希望を与える明けの明星に」

 その同じ年(昭和62年)に、愛善みずほ会は新肥料「明星〈みょうじょう〉」を発表した。この肥料は有機質を発酵させて粒状に固めた有機質発酵酵素肥料で、良い微生物が豊富に含まれ、かねてから微生物農法の重要な肥料とされていたものであった。ところがそれまでは技術的に大量生産できず、需要にこたえられない状況にあった。その大量生産技術が大手肥料メーカーとの一年にわたる協同研究の結果、ついに成功し、本格的な製品化のめどがたったのである。
 この「明星」は日本の肥料業界においても画期的な新肥料であったことから、その後多くの肥料会社が「明星」を土台に研究し、3年後には類似品が市場にも出回るようになった。
 新肥料誕生の報告をお聞きになった三代教主はたいへんお喜びになり、その肥料に「明星」とご命名になり、愛善みずほ会の役員に対して、

 「明星とは宇宙の主神〈すしん〉の顕現、太白星〈たいはくせい〉(金星)のことです。人々に希望を与える明けの明星として、日本の農業に光明と希望を与え、世界の農業に光となることを願ってつけました。みずほ会が明星にならなければなりません」
とお話しになり、
 「どういう時代が来ようとも、これからの農家は安全でおいしいものをたくさん作る。そうすれば農業はだいじょうぶです」

とお励ましになった。
 さらに同じ年(昭和62年)の秋11月の大本開祖大祭では、次のご挨拶をお述べになっている。このときのご挨拶は、大本教団において開教以来の悲願の神殿「長生殿」の造営が発表されてまもないときのご挨拶だった。

 「当今〈とうこん〉の食糧事情は自給自足に程遠く、日本は海の彼方〈かなた〉の物資に依存しており、一朝〈いっちょう〉それが断たれましたら、それこそお米一粒、菜の葉一枚もとうといことを思いしらされるはずですのに、そのありがたさを忘れ、さらにはすべてを産み出すお土のご恩も思わず、神さまのものであるお土を投機の対象にさえするというような、恐ろしい世相だと申します。
 私どもは、くり返し申しますことですが、お土のご恩に感謝し、ものをまつべるという、開祖さまがおん身をもってお示しになりましたくらしに、どうしても立ち帰らなければならないと存じます。
 そして開祖さまに神〈かん〉ならい、私心を去り、われよしを捨てて、世界の人類の安心立命のために働かせていただかなければなりません。この小さな教団が、今日、国の内外で大きな活動をさせていただいておりますことは、神さまのご経綸であり、皆さま方のご努力に負うところでございますが、一方おかげになれて、ついつい感動を忘れ、安易な日々を送っている現在の大本の人々のくらしを、開祖さまに申し訳なく、空おそろしいまでに思うのでございます。
 長生殿完成の予定が早まりまして、開教百年(平成4年・1992年)を期して、皆さまとよろこびをともにさせていただくはこびとなり、うれしく存じます。しかし長生殿にふさわしい、まことの人がふえることこそ、長生殿ご造営の目的でございます」

 明けて昭和63年1月23日、出口聖子〈きよこ〉四代教主が教主代行にご就任。そのわずか2年余りのちの平成2年(1990)9月23日、出口直日三代教主は後事のすべてを四代教主にお託しになり、天界へとお帰りになった(享年88歳6カ月)。
 現在でも愛善みずほ会の売店「DOMO(ドーモ)」で販売している肥料「明星」の袋には、「明星」の筆文字が印刷されている。この文字は、三代教主がご生前最後に、公的なご下付ものとして、筆をとられたご染筆の写しである。